歩いてはまた戻ってきてガタガタ坐っていたが、どうすることもできなかった。
 その翌日から久作はミササギで仕事にかかったが、十日あまりで石を全部谷へ投げこみ、地ならしして、ミササギが畑になっていたのである。そこへ彼はカブをまいた。しかし、カブをまき終った晩、鎌で腹をさいて死んだのである。山へ戻ってからその日まで誰とも一言も話をしなかった。



底本:「坂口安吾全集 14」筑摩書房
   1999(平成11)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「群像 第九巻第七号」
   1954(昭和29)年6月15日発行
初出:「群像 第九巻第七号」
   1954(昭和29)年6月15日発行
入力:tatsuki
校正:小林繁雄
2006年9月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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