ります。
私は文学のふるさと、或ひは人間のふるさとを、こゝに見ます。文学はこゝから始まる――私は、さうも思ひます。
アモラルな、この突き放した物語だけが文学だといふのではありません。否、私はむしろ、このやうな物語を、それほど高く評価しません。なぜなら、ふるさとは我々のゆりかごではあるけれども、大人の仕事は、決してふるさとへ帰ることではないから。……
だが、このふるさとの意識・自覚のないところに文学があらうとは思はれない。文学のモラルも、その社会性も、このふるさとの上に生育したものでなければ、私は決して信用しない。そして、文学の批評も。私はそのやうに信じてゐます。
底本:「坂口安吾全集 03」筑摩書房
1999(平成11)年3月20日初版第1刷発行
底本の親本:「現代文学 第四巻第六号」大観堂
1941(昭和16)年7月28日発行
初出:「現代文学 第四巻第六号」大観堂
1941(昭和16)年7月28日発行
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2008年9月16日作成
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