き、彼はこう叫んで世を呪った。
「最もいまわしい汚れた女が殺されたために、大金を費し、良民に迷惑をかけて犯人を探すことがすでに奇怪である。肉体で支払いをした女も、その支払いをうけた男も、畜生であって、人間ではない」
彼は人を殺しまた裁くことだけ知っていたが、自分を裁くことは知らなかった。それが彼の云う人間であった。畜生は自分を裁いて死んだ。
底本:「坂口安吾全集 13」筑摩書房
1999(平成11)年2月20日初版第1刷発行
底本の親本:「群像 第八巻第一号」
1953(昭和28)年1月1日発行
初出:「群像 第八巻第一号」
1953(昭和28)年1月1日発行
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2010年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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