これが美しくなくて、何であろうか。見給え、空には飛行機がとび、海には鋼鉄が走り、高架線を電車が轟々《ごうごう》と駈けて行く。我々の生活が健康である限り、西洋風の安直なバラックを模倣して得々としても、我々の文化は健康だ。我々の伝統も健康だ。必要ならば公園をひっくり返して菜園にせよ。それが真に必要ならば、必ずそこにも真の美が生れる。そこに真実の生活があるからだ。そうして、真に生活する限り、猿真似を羞《はじ》ることはないのである。それが真実の生活である限り、猿真似にも、独創と同一の優越があるのである。



底本:「坂口安吾全集14」ちくま文庫、筑摩書房
   1990(平成2)年6月26日第1刷発行
   1993(平成5)年3月10日第2刷発行
底本の親本:「日本文化私観」文体社
   1943(昭和18)年12月5日
初出:「現代文学 第五巻第三号」
   1942(昭和17)年2月28日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:kompass
校正:伊藤時也
2005年12月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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