言説に比べると、素人が逆立ちしてやうやく一人前弱にしか憤れないものだ。逆立ちして一人前弱にしかなれない物は書かぬがよい。文学の立場から芸談風にふれるなら、話は自ら又別だ。宮本武蔵は剣の奥儀によつて「芸」を会得し処世の秘奥を会得した。之即ち傑人である。文学の奥儀を会得すれば相撲の奥儀も自ら会得出来るであらう。文学者は文学を会得してゐるから値打がある。文学者が相撲の名人になつても値打にはならないよ。大井広介は文学を会得すべし。さうではないか。独断のかたまりとなり、痛々快々な新型をあみだして貰ひたいと僕は思ふ。
底本:「坂口安吾全集 03」筑摩書房
1999(平成11)年3月20日初版第1刷発行
底本の親本:「現代文学 第五巻第八号」大観堂
1942(昭和17)年7月28日発行
初出:「現代文学 第五巻第八号」大観堂
1942(昭和17)年7月28日発行
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2008年9月16日作成
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