大変転に気付いたのである。
先日××社の座談会で、私は喋る方であり、郡山は喋らせる方で、二本のウヰスキーをとりだしたから、オイ命の方は? と私が大いに慌てると、先生もきまり悪がつて、冗談ぢやないよ、××社が買ふウヰスキーぢやないか。昔は郡山先生が手がける酒は命にかゝはるものにきまつてゐた。然し、世は変り、あに世の変りを信ぜざるべけんや、即ち私は新日本の生誕を信じる故に敢然グラスをとつて強《したた》かあふり、今日も尚生きてをり、世の一大変転を命をかけて実証するに至つた。郡山君、講談倶楽部を焼きたまへ。
底本:「坂口安吾全集 04」筑摩書房
1998(平成10)年5月22日初版第1刷発行
底本の親本:「早稲田文学 第一三巻第七号」
1946(昭和21)年10月1日発行
初出:「早稲田文学 第一三巻第七号」
1946(昭和21)年10月1日発行
入力:tatsuki
校正:宮元淳一
2006年5月5日作成
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