、話の外の素人芸で、当人だけが聴きほれて勝手なところで引っぱったり延ばしたりふるわせたり、センスが全然ないばかりか、悪趣味のオマケがあるだけだった。
三木は私を口説いたが拒絶したので、登美子さんを口説いてこれも拒絶された。私は黙っていたので、登美子さんは自分だけだと思って自慢顔に打開けたが、私は三木の薄ッペラなのが阿呆らしくなっていた折だから、その後は交際はやめてしまった。まもなくゴルフの出来ないような時世になって、やがて女学校を卒業したが、登美子さんは拒絶しながら、しかし内々得意になってその後も交際をつづけていた。そして私が登美子さんに誘われてももう三木と遊ばなくなったのを、嫉妬のせいだとうぬぼれていたが、私も三木に口説かれたことがあったわ、たぶんあなたよりも先に、といってもそれも嫉妬のせいだと思い、三木に訊いたけどそんなこと大嘘だといったわよといって、鼻をひくひくさせていた。それ以来は一そう得意で、三木の実演だ、研究会だ、というような切符を昔は十枚三十枚ぐらい買ってやっていたのを、百枚二百枚三百枚、五百枚ぐらい買うようになった。パトロンヌ気取りで、時計や洋服を買ってやったり、指環
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