て先の変化で、下手からは六三金と打ちこむ手がある。大山はこのあたりで、も一つ控えて、上手の銀の打ちこみを防ぐことを主として考へてゐたやうである。この方法で、大山の通りに行くと、木村必勝の棋勢となつてしまふのである。
このへんの細いことは無論私には一向にわからない。わからなくつて書いてゐるのだから、私自身もバカ/\しいが、まア、怒らずに読んで下さい。間違つてゐても、責任は負ひません。大山は木村に近い棋風だから、木村のいゝ将棋になるのだと倉島竹二郎がいふ。そして、升田は大山の気付かぬ手を指してゐるぜ、といふ。それが三八銀と打ちこんで飛車に当てる手であつた。
ところが、これも八段連が考へてみると、飛車が七九へ逃げる。銀が二三へ成る。角が五九へ逃げて、つゞいてこの角が七七へ廻ることになると、やつぱり木村がいくらかいゝといふ話だ。塚田の成銀が遊び駒になる上に、この角が敵王のコビンに当る急所を占めるからである。
ところが原田八段は、この当りを消すために先づ六六歩、同歩と歩をつきすてゝ一歩呉れておくことを考へてゐた。そして、かうなると、まだ形勢は不明で、わからん、と云つてゐた。
これを教へて
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