。ダンサアの夜会服などは貧弱極るものに見え、男も女もなべて他の見すぼらしさが確然と目にしみ渡るのである。伝統のもつ貫禄といふものを思ひ知らされたのであるが、それにしても伝統の衣裳をまとふ、その内容が空虚では仕方がないので、然し、小さな舞妓のキモノが群集の波を楚々とくゞりぬけて行く美しさは今でも私の目にしみてゐる。



底本:「坂口安吾全集 05」筑摩書房
   1998(平成10)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「光 第三巻第四号」
   1947(昭和22)年4月1日発行
初出:「光 第三巻第四号」
   1947(昭和22)年4月1日発行
入力:tatsuki
校正:藤原朔也
2008年5月10日作成
青空文庫作成ファイル:
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