に面白いとも思われず、屋根裏だの居候の頃と同じことで、そして、別に、年齢が四十をすぎたというようなことも、まるで感じていない。私の魂は一向に深くもならず、高くもならず、生長したり、変化している何物も感じていないのだ。
私はたゞ、うろついているだけだ。そしてうろつきつゝ、死ぬのだ。すると私は終る。私の書いた小説が、それから、どうなろうと、私にとって、私の終りは私の死だ。私は遺書などは残さぬ。生きているほかには何もない。
私は誰。私は愚か者。私は私を知らない。それが、すべて。
底本:「坂口安吾全集 05」筑摩書房
1998(平成10)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「新生 第三巻第二号」
1947(昭和22)年3月1日発行
初出:「新生 第三巻第二号」
1947(昭和22)年3月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2009年1月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www
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