ぐらいの智者にきいてみると、
「ハアン。バカ。笑われたろう」
「笑われもしなかったな」
「オメデタイよ。お前さんは」
「そうかな」
「巷談師ッたって通じるかよ。人は好男子にとるにきまっとるじゃないか。日本語には、それだけしかないんだよ。覚えておけ」
「そうか」
「今さらシマッタと思ったって、手おくれだよ。バカを顔にぶらさげて歩いてら。アハハ」
なに、シマッタなんて思うもんか。
巷談師=好男子。益々まんざらでない。つまり私以外の誰の職業でもないということを天が指定しているようなものさ。
底本:「坂口安吾全集 09」筑摩書房
1998(平成10)年10月20日初版第1刷発行
底本の親本:「別冊文藝春秋 第一七号」
1950(昭和25)年8月3日発行
初出:「別冊文藝春秋 第一七号」
1950(昭和25)年8月3日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:花田泰治郎
2006年3月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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