に事に遭遇した場合、日本人の肺腑からほとばしる見事な詩だが、然し、文学的教養なくしては歌ひ得ぬ性質のものである。これだけの歌を表現するには相当の文学的教養が必要の筈だ。大東亜戦争が始ると、急にウロ/\日本を探しはじめた人々の速成主義には却々これだけの教養が身につく筈はないのだ。文学といふものは、文学それ自身年期を入れる必要のあるもので、文学の年期がはいつてゐれば、日本人の書く文学はみんな日本的な筈なのだ。
良人が責任を感じて切腹し、その妻女がこのやうな歌をよむといふ、日本は美なる国なる哉。日本万歳。
底本:「坂口安吾全集 03」筑摩書房
1999(平成11)年3月20日初版第1刷発行
底本の親本:「現代文学 第六巻第一号」大観堂
1942(昭和17)年12月28日発行
初出:「現代文学 第六巻第一号」大観堂
1942(昭和17)年12月28日発行
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2008年9月16日作成
2008年10月28日修正
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