「ハッハッハ。雲さんゴキゲンナナメだね」
半平、かがみこんで、ほる。
すぐ一枚の板がでた。何か、書いてある。
「アレ。なんだい。これは。ヤヤ!」
半平はガクゼンとして、一同に板を示した。文字に曰く、
「もっと掘れ。ワンワン」
「ウーム」
一同、声をそろえて、一唸り。
「チキショウメ。してやられたか。しかし、そうだろうな。これぐらいのサテツは覚悟してなきゃアいけないよ。品物が品物だもの。サルトルさんもムザとは渡すまいさ。戦意ボツボツ。戦いは、これからさ」
「もっと掘れ、とあるから、まア、掘ってみろ。敵の策は見とどけておけ」
「ウン、そうだ」
半平は、すぐ、ほりつづけた。戦意とみに湧き立ったせいらしい。
ついに一つのカンがでた。中をあけると、ガマが一匹はいっている。
「アッハッハ。人が見たら蛙になれ、というシャレだね。たいしたシャレじゃアないな。サルトル氏の風流精神は、かなり月並らしいや」
半平は、ちッとも腹を立てない。面白がっている。
「しかし、重い品物をそう遠方へ運ぶ筈はないから、手分けして、探してみようよ」
そこで手分けして歩いてみたが、それらしい土のあとは見当らない。
「よろしい。しからば、いよいよ、小田原合戦だよ。ツルちゃんが待ってるだろう。雲さんや、ツルちゃんに、じき、あえるぜ」
「よしやがれ。あいたいのは、テメエじゃないか」
車をいそがせて、小田原の別荘へついた。
二人の姿は見えない。
「二人は、どうしたの」
と留守番にきくと、
「ハイ、映画見物におでかけです」
「なるほど。ボンヤリ待ってもいられないだろうな」
待たせる身が、待つ身になった。散々待たせて、現れた二人。
サルトルは、いともインギンに挨拶して、
「ヤ。まことに本日は遠路のところ御足労で。社長はじめ重役陣、直々の御来臨、光栄この上もありません。わりに、早いお着きで、恐れいりました」
「アッハッハ。サルトル君は月並なシャレが好きですね。しかし、あなた、動物学上、ガマはガマ、カエルはカエルでしょう」
「イヤ、恐れいりました。無学者で、いつも恥をかいております」
「しかし風流を好む精神は見上げたものですよ。バクダンを仕掛けておくとか、人糞を埋めておくとか、えてしてやりがちなものだけど、あなたは風流ですねえ。しかしボクでしたら、一もとの山吹をいれてね。花はさけども、実の一つだ
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