、朝からズッと放二の社に詰めきっていることが書かれていた。
 せつ子は忘れていた男のことを思いだして、ちょッと不快を覚えたが、気にかけるほどのことではない。
 せつ子はこれまでに青木から八十万円ほど出させている。自分で二百万都合するから、青木には三百万都合して、と頼んだ。五百万耳がそろわなくとも仕事に着手できるが、八十万じゃ、着手どころか、事務室もかりられない。
 宇賀神の方がトントン拍子にいってるから、青木はもう用のない存在であった。ただ苛立たしいのは、忘れた男、用のない男が、なんの因果か、放二と仲よくしていることだ。
 せつ子は手紙をよみおえて、
「青木さんには私が帰京したことナイショにしてほしいわ。二三日帰京がおくれるッて電話があったことにして」
「小ッちゃな雑誌社でしょう。応接室も社長室もないんですの。編集も業務も小ッちゃな一室にゴチャまぜ。青木さんの目の前に電話があるんですから、こんな電話がありましたッて、ちょッと云いかねると思います」
 なかなか、こまかく気がつくな、と、記代子を見るせつ子の目に微笑がこもった。
 いかにも当りまえなお嬢さんタイプの娘である。難もないが、目を
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