青木は改まって、起き上らずにいられなかったが、それが一そう長平に不興を与えたようであった。
「記代子にまかしておきたまえ」
長平はソッポをむいで、つめたく答えた。
五
青木は長平の顔を見るのも不快な気がした。いつもながら、思いあがった冷めたさである。
理窟を云えばキリがない。どんな非行も、理窟で筋を立てることはできるものだ。
やりきれないのは、長平という男の独善的な暮しぶりだ。行い澄ました偽善者の方が、まだ、どれぐらい可愛いいか分らない。姪の病室を見舞いもしないで、パンパン宿でノウノウとしている悪どさ。その暮しぶりの独善的な構図が、あくまで逆説的だから、鼻もちならぬ毒気に当てられて、やりきれなくなってしまう。
たかが小娘のパンパンを心の友であるかのように、一ぱし深処に徹して契りを結んでいるかのような、平静や落付きも、やりきれない。思いあがっている、という一語に全てがつきている。
生活に不安のない人間が、彼によりすがる人々を突き放して勝手に安定するぐらい、容易なことはないのである。要するに、利己主義という一番平易な一語につきる。
青木はつい皮肉の一つも言わ
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