の仕事や力量に、どんな風に乗ぜられ、どんな風に負け、どんな顔や恰好をするだろうか、ということが、興味津々たるものがある。それを見つめることは、放火狂が火をみつめるように、色好みの男が女体をみつめるように、全身的な快楽を感じる。彼は話術の緩急を考え、猫が鼠をじらすように、たのしむのが好きであった。
何か長平の一言があるかと思っていたが、何もないので、彼は言葉をつゞけた。
「悪女の深情という言葉がありますが、なるほど、嫌われれば嫌われるほど、もたれてくる。ベタ惚れ、ベタベタ、見栄も外聞もなくなるのですな。高さ、品格がありません。顔はお岩ではないかも知れませんが、その人格からうける全的な感じはお岩、妖怪じみたものです。ぼくも、ついに音をあげたのですよ。これは、とても、たまらん。寸刻も、同居に堪えない。……」
エンゼルは火をふくような目をした。大いなる怒りが、こもりにこもって、どッと火をふいたようである。当面のものを全的に拒否している冷めたさが、みなぎった。
すでに歴然たる悪党のエンゼルだった。悪党が悪党らしくないうちは興味津々であったが、悪党になってしまえば、面白おかしくもない。エンゼ
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