のだ。全部を変える以外には、それに多少つけ加えるべきものがないように見えるほどである。
 十万円というまとまった金をもらってみても、放二はそれほど嬉しいとも思わなかったが、思わないわけである。身にしみて必要な理由がなかったからである。一つだけあるとすれば、せつ子がすすめてくれたように、身体を丈夫にすることであるが、それに対しても情熱が欠けていた。たッて、という情熱が、起らなかった。ストレプトマイシンも買える。入院して整形手術もできそうだ。転地して、元気を恢復して戻ってくることも、不可能ではないかも知れない。しかし、そうまでするハリアイが、どうしても起らないのであった。
 十万円に淡白なのは、生命の蔑視から来ているのかも知れないが、それもミジメな話である。誰も好んで己れの生命を蔑視する筈はないのである。外部的な何かが、それはいろいろのからみあった何かであるが、それがアキラメを与えているのであろう。
「お前、健康になりたいと思うか」
 こう自ら問うてみる。いろいろの考えのあとで、彼はこう答えを出した。
「このまま。そして、それから、なるがままに」
 病気ということは一応忘れて、他のことに目
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