らッしゃいませ」
と言ったが、それは主婦が来客に対する態度であり、言葉であった。
「ごらんの通りですよ。どうぞ御安心下さいと叔父さんや社長におつたえ下さい。記代子はぼくに同席してくれと言いますが、ぼくは遠慮しますよ。どうぞ、御二人で腹蔵なく話し合って下さい」
そして、記代子に、
「話がすんだら、知らせてね」
と、やさしく言いかけて、姿を消した。
エンゼルが去ると、記代子の態度は硬化した。
「私、幸福よ」
まるで宣言であった。
「ハア。ぼくも、野中さんからのお話で、だいたい、そのように思っていました」
放二はやわらかく受けて、
「ですが、先生も社長も御心配ですから、一度、戻っていただけませんか」
記代子は苦笑した。
「誰も私のことなんか心配してやしないわ」
放二はうなずいて、
「そうお思いになるのも当然です。利己的な場合のほかに、本当に心配している関係は、有りえないかと思います」
「野中はエンジェルと言うのよ。そして、私の本当のエンジェルだわ。本当に私を心配してくれるのはあの人だけ」
「そうです。恋愛は利己的ですから。そして、青木さんも本当に心配しています」
記代子は苦
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