いが、仲間にきいてみたら分るでしょう。なんてましたッけ? エンゼル。へ。ちょッと、お待ちなさい」
ジイサンは靴ミガキ仲間のいかにもアンチャンらしいのとヒソヒソ話し合っていたが、やがて、雑沓の中へ消えてしまった。
四五人分も靴をみがけるぐらいの時間をかけて汗をふきふき戻ってきた。
「ヘエ。これなんです」
なんでもないように渡された紙片に、二ツの所番地と、野中幸吉という姓名が記されていた。
「この野中がエンゼルの本名なんです。百万円もかけて普請した立派なウチに住んでるそうですぜ。千坪からの花園をもってるそうでさア。花束を卸してるんだそうですなア。商魂抜群のアンチャンだそうで」
甚だ意外な話であった。
「それじゃア、愚連隊どころか、立派な商人じゃありませんか」
「私だって、そう思いましたよ。きいてみると、そうでもないねえ。屋敷や花園の敷地だって、焼跡を勝手に拝借したもの、花売りだって因業な商売してるんだそうです。商魂があって、金ができるし、隆々と、いい顔だそうですよ」
ジイサンは他の所番地を示した。そこはアパートであった。
「このアパートがね。新築するまで住んでたとこで、今でもここ
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