自信がないから、腹も立たないタチで、痛さをのぞけば、蠅がとまったぐらいにしか考えていなかった。

       六

 ルミ子がボンヤリしていると、もう七ツ八ツ、おまけにひっぱたかれた。
 ほかの女なら、口惜しまぎれに何とか言いたくなるところだが、ルミ子は睨みつけもしなかった。手応えがなさすぎるせいか、又、三ツ四ツ、おまけをもらった。
 キッピイは凄んだタンカで睨みをきかせるヒマがなく、ひっぱたくだけひっぱたいて、手が痛くなってしまった。
 ルミ子がコック場で顔をなおして戻ってくると、キッピイは帰り仕度して出てしまったあとだった。
「ポン中よ」
 一人が教えてくれた。ヒロポンの話はきいていたが、ルミ子の周囲には愛用者がいなかったので、ポン中毒の正体がのみこめなかった。
「それで、凶暴なの?」
「そうでもないよ。根がヤキモチヤキなのよ。ルミちゃんが可愛いい顔してるから、癪にさわるのよ」
 その言葉が気に入らなかったと見えて、ちょッと可愛い大柄な女が訂正した。
「エンゼルに女ができたから、ヒステリーなのさ。その女ッてのが、キッピイの学校友だちじゃないの。ここへ遊びにきたじゃないの。あの子さ
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