らなきゃ競争ができないから、ぼくとしちゃアしたかアないが、身を入れてつとめて下さい。あなたに客がついて繁昌してくれるなら、それに応じるだけのことはします」
 命令らしいことを言ったのは、それだけだった。真剣のようで、なげやりであった。来たばッかりの女に、何を言ったって仕様がない。気にいらなきゃア、その日のうちによその店へ行っちまうのがこの商売の女だから、身を入れて話をするのは居ついてからの相談だというような悟りきった様子である。悟り方が諦め的で、なんとなく哀れに見えた。
 ほかに男はいなかった。
 お客は幾組もきやしない。お客のもとめに応じて、二階の小部屋で遊ぶことができるようになっていた。なんだ、そんなのか、とルミ子は思ったが、表向きがそうでないだけバカバカしくて、奥へ消えたカップルが妙な顔付で再び現れてくると、笑いたくなるのであった。
 ルミ子はお客にさそわれたが、
「はじめてだから、ダメ」
「はじめてだって、ここはそういうウチじゃないか。はずかしがることはないぜ」
「あんたに会うのが、はじめてだから、ダメなのさ」
 再び戻ってくるという仕掛が妙であった。女の中でも利のきいた子は、
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