配のお嬢さんには、どんな突飛なことも、御自分だけの歴《れっき》とした理由がありうるわ。あのバーでも、あの年配のお嬢さん女給がまとめて三人ぐらい揃うときがあると、バーのシキタリが狂っちゃって、お店全体が狂うんです。それが理窟は合ってるんですよ」
「一回に二ツのマッチですと、一つも使わなかったものとして、十二三回、遊びに行かれたわけですね」
 礼子はかるくうなずいただけで答えなかった。そして、考えこんでいたが、
「私、どちらかと云えば、青木に同情していたのです。ですが、失踪なさッたときいて、記代子さんがお気の毒ですわ」
「奥さんは、記代子さんの失踪を御存知のようでしたね」
「青木にきいたのです」
 さッきから放二はそこにこだわっていたが、礼子の答えは簡潔だった。
「北川さんは、このこと、どう思いますか。記代子さんは、十日間ほど、毎日欠かさずウチのバーへいらしたことがあるんです。失踪は金曜日だそうですね。すると、その十日ほど前までです」
 放二はあやしんで、
「青木さんとご一しょではなかったのですか」
「いいえ。青木と一しょは一回だけ。それから一ヶ月あまりたって、つづけさまに十日ほど、いらし
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