かわいたり、ゲラゲラ笑ったりするものなんだぜ」
「そんなものですかねえ」
「そんなものなんだよ。すべてが具わったものでもないし、万能でもないのさ。そして、奴らは――奴らッてのは、神様のことだよ。奴ら、ノドがかわいたって、貴族の食卓へ行きやしないよ。カストリとパンパンを買いに行くんだ。ぼくみたいにね」
「ハア。あなた、神様だね」
「まア、そうさ。ノドがかわいてるし、ゲラゲラ笑いたいからね。なア、おッさんや。ぼくが北川放二君を信用しないと云ったら、あんた、怒るかい。だってさ。パンパンが彼を神様だの、ふるさとだのッて云いやがんだ。笑わせるな。ノドがかわいたり、ゲラゲラ笑わない奴、信用できるかッてのさ。甘ったれるな。ハッハ。しかしさ。カストリとパンパンは、甘ったれたところがネウチなんだぜ。笑わせやがら」
「笑いなよ。勝手に」
「お前さんなんかに、可愛がられたくないんだ。パンパンにもよ。バカヤロー。オレはパンパンに軽蔑されにきたんだ」

       十

「なア。放二さん。パンパン街の神様や。笑わせるな。気どるなッてんだ」
 青木はコップを握って、ゆれながら、放二に毒づいた。放二は黙っていた。
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