ない人はウヌボレ屋じゃないから、欠点は隠さなければいけないと思うのよ。それで、いつもお化粧しなければいけないと思うのよ」
記代子はいくらか亢奮して口をつぐんだ。それは言葉の表現が思うようにできないためのようにも見えた。グラスをほして、
「でましょう」
青木をさそって、立ち上った。
「いかほどですの」
「ここは、いいの」
記代子は笑って、
「そんなこと、なんにもならないことよ」
「まア、いいさ。ぼくの昔の奥さんの思うようにさせてあげたまえ」
「そのワケがあるの?」
「物事の本当のワケは誰にも分りゃしないのさ」
今度は青木が記代子を押して外へでた。
五
「どうして、お金払わせなかったの? なぜよ」
外へでても、記代子はきいた。ただごとならぬ面持に、青木は苦笑して、
「つまり、ぼくの昔の奥さん、ぼくをあわれんだのさ。たまに会ったんだ。あわれまれてやらなきゃ、昔の奥さんのお顔が立たんじゃないか。今晩だけのことだから、あなたも我慢して、つきあってくれたまえよ」
「あわれんでもらいたいの」
「彼女があわれみたいのさ。だから、あわれまれてあげなきゃいかんじゃないか」
「う
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