という大穴であった。私は本命や対抗を頭に買っていたから、大穴は当らなかったが、中穴が全部当ったのである。
この日のレースが九レースまで中穴だったから、私が三千円の損失でくいとめたのである。つまり私は通算して一回に千五百円ぐらいずつ車券を買っているから、すくなくとも中穴が出ないと回収がつかないのだ。うまいことに、この日は中穴の続出で、こんなことは例外なのである。
この方法で買えば大穴以外は必ず一枚当るが、本命通りの結果に終ると、配当は百五十円ぐらいしかなく、常に大損するわけだ。
そこで大穴を狙う最も確実な方法は、常に三千三百円買うことである。なぜなら、フォーカスの事券は三十三種しかないのだから。しかし穴を狙う以上は、全部買う必要はない。三千円もつかって百五十円や五百円程度の配当をもらっても何にもならないから、本命や対抗を一二着にしたものは買わず、売れていないのだけ二十五種か三十種買う。穴は必ずこの中から出る。大穴がでれば必ずもうかる。しかし、二千五百円ずつ十二レース買うと、一日に一度、三万円の大穴がでてくれないと、やっぱり損をするのである。
大穴狙いはタクサンいる。車券の窓口で、
前へ
次へ
全25ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング