中で完全に育てあげるといふことさへ至難な業であるのに、バルザックの持つ人物の多様さよ。深さよ。小説は寧ろ「書きまくる」べき性質のものだと述べたが、書きまくるほど多くのことを身について持つには、よほどの勉強が必要であらう。バルザックやドストエフスキーを読むと、あの多様さを、あの深い根底から縦横無尽に書きまくつてゐるのに、呆然とすることがある。
人生への、人の悲しき十字架への全き肯定から生れてくる尊き悪魔の温かさは私を打つ。
[#地付き](一九三三・九・二五・新潟にて)
底本:「坂口安吾全集 01」筑摩書房
1999(平成11)年5月20日初版第1刷発行
底本の親本:「行動 第一巻第二号」紀伊国屋出版部
1933(昭和8)年11月1日発行
初出:「行動 第一巻第二号」紀伊国屋出版部
1933(昭和8)年11月1日発行
※プライムはアポストロフィ「'」で、ダブルプライムはアポストロフィ二つ「''」で代替入力しました。
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2009年4月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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