うな手下のようなヒケメを持つようになってしまう。昔からキ印やバカは腕ッ節が強くてイノチ知らずだからケンカや戦争には勝つ率が多くて文化の発達した国の方が降参する例が少くなかったけれども、結局ダンビラふりまわして睨めまわしているうちにキ印やバカの方がだんだん居候になり、手下になって、やがて腑ぬけになってダンビラを忘れた頃を見すまされて逆に追ンだされたり完全な家来にしてもらって隅の方に居ついたりしてしまう。
もっともキ印がダンビラふりまわして威勢よく乗りこんできた当座はいくら利巧者が相手にならなくとも、相当の被害はまぬがれない。女の子が暴行されたり、男の子が頭のハチを割られ片腕をヘシ折られキンタマを蹴りつぶされるようなことが相当ヒンピンと起ることはキ印相手のことでどうにも仕方がないが、それにしてもキ印相手にまともに戦争して殺されぶッこわされるのに比べれば被害は何万億分の一の軽さだか知れやしない。その国の文化水準や豊かな生活がシッカリした土台や支柱で支えられていさえすれば、結局キ印が居候になり家来になって隅ッこへひッこむことに相場がきまっているのである。
腕力と文明を混同するのがマチガイの
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