れ、職業をたのしむ心が大切なのだが、それが要するに、文化の本当の地盤なのだらう。
酒もまづいし、料理もまづい。それは今日の原料の貧困期には仕方のないことであるが、他の貧困にくらべれば、たとへば、ろくに親切とかサービスとか良心も知らず徒《いたずら》にゼネストばやりの世相に比べれば飲み屋の良心の復活は、まだしも見どころがある。
今日の世相で、むしろ私が最も安心してオツキアヒのできるのは、酒の世界が第一等だと思ふ。
世の高風は先づ酒から吹き起るとでも、云ふものか。
底本:「坂口安吾全集 05」筑摩書房
1998(平成10)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「旅 第二一巻第六号」
1947(昭和22)年6月1日発行
初出:「旅 第二一巻第六号」
1947(昭和22)年6月1日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:noriko saito
2009年1月19日作成
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