糸口が現われてきた。彼は「私の妻に娘」という一事に注意をひかれた。そして鋭い目を男の上に据えていた。予審判事といえどもそれにおよぶまいと思われるほど、じっと目を注いでいた。ほとんど待ち伏せをしてるようなありさまだった。それでも彼はただこう答えた。
「要点を言ってもらいましょう。」
男は二つの内隠しに両手をつき込み、背筋をまっすぐにせずただ頭だけをあげて、こんどはこちらから緑色の眼鏡越しにマリユスの様子をうかがった。
「よろしゅうございます、閣下。要点を申し上げましょう。私は一つ買っていただきたい秘密を手にしております。」
「秘密!」
「秘密でございます。」
「僕に関しての?」
「はい少しばかり。」
「その秘密とはどういうことです?」
マリユスは相手の言うことに耳を傾けながら、ますます注意深くその様子を観察していた。
「私はまず報酬を願わないでお話しいたしましょう。」と男は言った。「私がおもしろい人物である事もおわかりでございましょう。」
「お話しなさい。」
「閣下、あなたはお邸《やしき》に盗賊と殺人犯とをおいれになっております。」
マリユスは慄然《りつぜん》とした。
「僕の宅に?
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