日の光はきわめてうららかで、マリユスとコゼットとの窓のほとりの庭は春の目ざめの気に満ち、山※[#「木+査」、第3水準1−85−84]《さんざし》は芽ぐみ、丁子は古壁の上に宝石を飾り、薔薇色《ばらいろ》の金魚草は石の割れ目に花を開き、草の間にはひな菊や金鳳花《きんぽうげ》がかわいく咲きそめ、年内の白い蝶《ちょう》は始めて飛び出し、永遠の婚礼の楽手たる春風は、古い詩人らが一陽来復と呼んだ黎明《れいめい》の大交響曲の最初の譜を樹木の間に奏していた――そのある日の午後、マリユスはコゼットに言った。「プリューメ街の庭にまた行ってみようといつか話したね。今すぐに行こう。恩を忘れてはいけない。」そしてふたりは、二羽の燕《つばめ》のように春に向かって舞い上がった。プリューメ街の庭は曙《あけぼの》のような気を彼らに与えた。愛の春とも言うべき何物かを彼らは過去に持っていた。プリューメ街の家はまだ借受期限内で、コゼットのものになっていた。ふたりはその庭に行き、その家に行った。そして昔に返って、我を忘れてしまった。その夕方いつもの時刻に、ジャン・ヴァルジャンはフィーユ・デュ・カルヴェール街にやってきた。バスク
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