はどうなったろうか。ジャン・ヴァルジャンが徒刑囚であることを発見したところで、彼マリユスの心が変わり、またコゼットの心が変わったであろうか。それで彼は退いたであろうか。彼女を愛しなくなったであろうか。彼女と結婚しなくなったであろうか。否。何かが今と違うようになったであろうか。否少しも。それでは何も後悔し、何も自責することはなかったではないか。すべていいようになったのだ。恋人と呼ばるる酩酊者《めいていしゃ》にとっては一つの神があるものである。マリユスは盲目でありながら、洞察《どうさつ》の明をそなえていたのと少しも変わらない道をたどったのである。恋は彼の目をおおっていた。しかしそれはどこへ導かんがためにか。楽園へ導かんがためにではなかったか。
 しかし今後は、その楽園は傍《かたわら》に地獄を引き連れてゆくことになったのである。
 あの男に対して、ジャン・ヴァルジャンとなったフォーシュルヴァンに対して、元からマリユスがいだいていたへだたりの感じは、今は嫌悪《けんお》の情を交じうるに至った。
 あえて言うが、その嫌悪の情の中にはまた、あわれみの念があり、ある驚きの念さえも含まれていた。
 その
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