ゾン公爵やスービーズ侯爵や顧問官トゥーアル子爵が、がた馬車に乗ってロンシャンの競馬場に行くのを見た時からだ。ところが果たしてそれは実《み》を結んだ。この世紀ではだれでも皆、商売をし、相場をし、金を儲《もう》け、そしてしみったれてる。表面だけを注意して塗り立ててる。おめかしをし、洗い立て、石鹸《せっけん》をつけ、拭《ぬぐ》いをかけ、髯《ひげ》を剃《そ》り髪を梳《す》き、靴墨《くつずみ》をつけ、てかてかさし、みがき上げ、刷毛《はけ》をかけ、外部だけきれいにし、一点のほこりもつけず、小石のように光らし、用心深く、身ぎれいにしてるが、一方では情婦《いろおんな》をこしらえて、手鼻をかむ馬方でさえ眉を顰《しか》むるような、肥料溜《こえだめ》や塵溜《ちりだめ》を心の底に持っている。わしは今の時代に、不潔な清潔という題辞を与えてやりたい。なにマリユス、怒ってはいけないよ。わしに少し言わしてくれ。別に民衆の悪口を言うんじゃない。お前のいわゆる民衆のことなら十分感心してるのだが、中流市民を少しばかりたたきつけてやるのはかまわんだろう。もちろんわしもそのひとりだ。よく愛する者はよく鞭《むち》うつ。そこでわし
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