が、その後軍法会議の前で、「アポロンと呼ばるるひとりの暴徒がいた」と語ったのは、たぶん彼のことを言ったのであろう。アンジョーラをねらっていたひとりの国民兵は、銃をおろしながら言った、「花を打つような気がする。」
十二人の者が、アンジョーラと反対の一隅《いちぐう》に並び、沈黙のうちに銃を整えた。
それから一人の軍曹が叫んだ、「ねらえ。」
ひとりの将校がそれをさえぎった。
「待て。」
そして将校はアンジョーラに言葉をかけた。
「目を隠すことは望まないか。」
「いや。」
「砲兵軍曹を殺したのは君か。」
「そうだ。」
その少し前にグランテールは目をさましていた。
読者の記憶するとおりグランテールは、前日から二階の広間で、椅子《いす》にすわりテーブルによりかかって眠っていたのだった。
彼は「死ぬほどに酔う」という古いたとえを充分に実現していた。アブサントとスタウトとアルコールの強烈な眠り薬は、彼を昏睡《こんすい》におとしいれた。彼がよりかかってるテーブルは小さくて、防寨《ぼうさい》の役には立たなかったので、そのままにされていた。彼はそのテーブルの上に胸をかがめ、両腕にぐったり頭を押
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