驍アとは、既に半世紀も続いてきたのを見てもわかる。
 しかしその得意は、たちまちにがい考えで乱された。
「ほんとに、」と彼は言った、「俺《おれ》はおかしくて、擽《くすぐ》ったくて、うれしくて仕様がねえ。だが道がわからなくなっちゃった。回り道をしなくちゃなるめえ。間に合うように防寨《ぼうさい》に着けばいいが!」
 そこで彼はまた駆け出した。
 そして駆けながら言った。
「ところで、ここはどっちの方面かな?」
 彼は街路をやたらにたどりながら歌を歌い始めた。その歌は闇《やみ》の中にしだいに消えていった。

[#ここから4字下げ]
だがまだ牢屋《ろうや》は残っているよ。
そんな秩序であるならば
俺《おれ》が鎮《しず》めてつかわそう。

 娘たちどこへ行く、
  ロン、ラ。

柱戯《キーユ》遊びをする者ないか。
大きな球が飛んだなら
古い世界は崩《くず》れよう。

 娘たちどこへ行く、
  ロン、ラ。

お心よしの老いぼれ人民、
ふざけた王位のルーヴルを
撞木杖《しゅもくづえ》にて打ちこわそうよ。

 娘たちどこへ行く、
  ロン、ラ。

俺《おれ》らは鉄門を破ってやったぞ。
シャール十世その
前へ 次へ
全722ページ中720ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング