A銃剣を彼の上にさしつけた。
 しかるにその銃剣がガヴローシュの身に触れる前に、銃は兵士の手から落ちた。一発の弾が飛びきたって、彼の額のまんなかを貫き彼をあおむけにうち倒した。また第二の弾は、クールフェーラックに襲いかかっていた兵士の、胸の中央に命中して、それを舗石《しきいし》の上に仆《たお》した。
 それは、ちょうど防寨の中にはいってきたマリユスの仕業《しわざ》だった。

     四 火薬の樽《たる》

 マリユスは、しばらくモンデトゥール街の角《かど》に隠れて、戦いの最初の光景を見ながら、なお決断しかねて身を震わしていた。けれども、深淵《しんえん》の呼び声とも言うべき神秘な荘厳な眩惑《げんわく》に、彼は長く抵抗することができなかった。切迫してる危機、悲愴《ひそう》な謎《なぞ》たるマブーフ氏の死、殺されたバオレル、「きてくれ!」と叫んでるクールフェーラック、追いつめられてる少年、それを助けあるいはその讐《あだ》を報ぜんとしている友人ら、それらを眼前に見ては、あらゆる躊躇《ちゅうちょ》の情も消え失せてしまい、二梃《にちょう》のピストルを手にして混戦のうちにおどり込んだ。そして第一発で
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