B」
 それから彼は叫び出した。
「ぷー、悪い牡蠣《かき》をのみ込んじゃった。おお気持ちが悪い。牡蠣は腐ってるし、女中は醜いときてる。人間がいやになっちまう。僕はさっきリシェリユー街で大きな公衆図書館の前を通った。書庫と言わるる牡蠣殻のはきだめは、考えても胸糞《むなくそ》が悪くなる。山のようにつんだ紙、インキ、なぐり書きだ。だれかがそんなものを書いたんだ。人間はプリューム([#ここから割り注]羽毛――ペン[#ここで割り注終わり])のない二本足だと言ったばか者がいる。それからまた僕は、知り合いのきれいな娘に出会った。春のように美しい、フロレアル([#ここから割り注]花娘[#ここで割り注終わり])とも言える奴《やつ》で、輝いた、有頂天な、幸福な、まるで天使のようだが、みじめな奴さ、痘瘡面《あばたづら》のたまらない銀行家が昨日その娘に思いをかけたんだ。実に女という奴は、金盗人と遊冶郎とにばかり目をつけてやがる。牝猫《めねこ》は鼠《ねずみ》と小鳥とを追っかけるもんだ。その娘っ児も、二カ月前まではおとなしく屋根裏に住んで、胸衣の穴に銅の小さな環《わ》をつけていたんだぜ。そして針仕事をし、たたみ寝
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