Hえるようなものを入れてやるためだ。」
突然彼は後ろに声がするのを聞いた。それはパタゴン婆さんで、彼を追っかけてき、遠くから拳《こぶし》をつき出して見せながら、叫んでるのだった。
「お前はたかが父無《ててな》し児《ご》じゃないか!」
「そんなことか、」とガヴローシュは言った、「俺《おれ》は毛ほどにも思ってやしねえ。」
それから少しして、彼はラモアニョン旅館の前を通った。そこで彼は呼び声を上げた。
「戦に出かけろ!」
そして彼は突然|憂鬱《ゆううつ》に襲われた。あたかもピストルの心を動かそうとしてるかのような非難の様子で、ピストルをじっとながめた。
「俺は戦に出発するんだが、お前は出発しないんだな。」と彼はピストルに言った。
一匹の犬は他の犬([#ここから割り注]即ち撃鉄[#ここで割り注終わり])から人の気を散らさせることもある。ごくやせた一匹の尨犬《むくいぬ》が通りかかった。ガヴローシュはそれをかわいそうに思った。
「かわいそうな奴だ。」と彼は言った。「お前は樽《たる》でものみ込んだのか、胴体に箍《たが》が見えてるぜ。」
それから彼は、オルム・サン・ジェルヴェーの方へ進んでい
前へ
次へ
全722ページ中540ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング