ミっくり返した大馬車でできていて、警視庁から三百歩の所にあった。
メネトリエ街の防寨では、りっぱな服装をした一人の男が働いてる者らに金を分配していた。グルネタ街の防寨では、騎馬の男がひとり現われて、防寨の首領らしく思える者に金包みらしいものを手渡しした。「これは入費や酒やその他の代だ[#「これは入費や酒やその他の代だ」に傍点]」と彼は言った。襟飾《えりかざ》りをつけていない金髪の青年が、各防寨の間を駆け回って命令を伝えていた。剣を抜き青い警官帽をかぶったもひとりの男は、方々に哨兵《しょうへい》を出していた。各防寨の内側では、居酒屋や門番小屋などが衛舎に変わっていた。その上この暴動は、きわめて巧妙な戦術によって按配《あんばい》されていた。狭くて不規則で曲がりくねって入り組んでる街路がみごとに選まれていた。ことに市場付近はそうであって、各小路は入り乱れて森の中よりも更に紛糾した網の目を作っていた。「人民の友」の仲間がサント・アヴォア街区で反乱の指揮を執ってるという噂《うわさ》もあった。ポンソー街で殺されたひとりの男の死体をさがすと、パリーの図面がポケットから出てきた。
しかし実際この暴
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