ヌそれから、どうしたのか自分でもわかりません、いつか恋するようになりました。ああそのために私はどんなにか心を痛めたでしょう。そして今では、毎日、彼女の家で会っています。父親はそれを知りません。ところが、察して下さい、その親子は遠くに行こうとしています。私たちは晩に庭で会っています。父親につれられてイギリスに行くというんです。それで私は、お祖父様《じいさま》に会って話してみようと考えました。別れるようなことがあれば、私はきっと気が変になります。死にます、病気になります、水に身を投げます。どうしても結婚しなければなりません。狂人《きちがい》になりそうですから。事実はそれだけです。言い落としたことはないつもりです。彼女はプリューメ街の鉄門のある庭に住んでいます。アンヴァリードの方です。」
ジルノルマン老人は、顔を輝かしてマリユスのそばにすわっていた。彼に耳を傾けその声音《こわね》を味わいながら、また同時にゆるゆるとかぎ煙草《たばこ》を味わっていた。ところがプリューメ街という一語を聞いて、彼は煙草をかぐのをやめ、煙草の残りを膝《ひざ》の上に落とした。
「プリューメ街! プリューメ街だな。……
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