ウした。自然の真実な感情にはいつも起こってくることではあるが、あんなふうに出て行ってしまった恩知らずの孫に対する祖父の愛情は、孫が目の前にいないだけにいっそう強くなるばかりであった。人が最も太陽のことを考えるのは、十二月の夜十度ほどの寒さになる時である。しかしジルノルマン氏にとっては、祖父たる自分が孫の方へ一歩ふみ出して行くということは、実際何よりなし難いことだった、もしくはなし難いことだと思っていた。「むしろ死のうとも……」と彼は言った。彼は自分の方には何らの非をも認めなかった。しかしマリユスのことを思う時には、深い愛着と、暗黒のうちに消え去らんとする老人が感ずる暗黙の絶望とを、いつも感ずるのであった。
彼の歯ももうなくなりかけていた。そのために彼の悲しみはいっそう深くなった。
ジルノルマン氏は、腹立たしい不名誉なことだったから自らはっきり認めてはいなかったが、かつてどの女をもマリユスほどに愛したことはなかったのである。
彼は自分の居室に、寝台の枕頭《まくらもと》に、目をさましてまず第一に見られるようにという具合に、亡《な》くなったもひとりの娘、すなわちポンメルシー夫人の古い肖
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