られるだろう。
「きりききゅう!」
 二度目の叫びに、はっきりした快活な若い声が象の腹の中から答えた。
「はーい。」
 それからほとんどすぐに、穴をふさいであった板がよけられ、そこからひとりの少年が出てきて、象の足をすべりおり、たちまち男のそばに飛びおりた。それはガヴローシュだった。男はモンパルナスだった。
 このきりききゅう[#「きりききゅう」に傍点]という叫びは、少年に言わすれば、「ガヴローシュ君に用がある[#「ガヴローシュ君に用がある」に傍点]、」というほどの意味に違いなかった。
 その声を聞いて、彼はふいに目をさまし、「寝所」の外にはい出し、金網の少し開いた所をまたていねいにしめ、それから揚戸《あげど》を開いて、おりてきたのであった。
 男と少年とは、無言のまま暗夜のうちに互いに相手を見分けた。モンパルナスはただこれだけ言った。
「お前にきてもらいたいんだ。ちょっと手を貸してくれ。」
 浮浪少年は別に何も尋ねなかった。
「よし。」と彼は言った。
 そしてふたりは、モンパルナスがやってきたサン・タントアーヌ街の方へ向かって、その時分市場の方へ行く青物屋の長い車の列の間を右左にぬけ
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