おり、草の上にすっくと飛びおりて、五歳の子供を鷲づかみにし、はしごの中ほどにそれを据え、その後から上りながら、年上の方に叫んだ。
「俺が押すから、お前は引っ張るんだぞ。」
 たちまちのうちに子供は、上げられ、押され、引きずられ、引っ張られ、知らない間に穴の中へ押し込まれてしまった。ガヴローシュはそのあとからはいってきながら、踵《かかと》で一蹴してはしごを草の上に投げ倒し、手をたたいて叫んだ。
「さあよし。ラファイエット将軍万歳!」([#ここから割り注]訳者注 常に革命に味方せる当時の将軍[#ここで割り注終わり])
 その感興が静まると、彼はつけ加えて言った。
「お前たちは俺《おれ》の家にきたんだぜ。」
 ガヴローシュは実際自分の家に落ち着いたのだった。
 実に廃物の意外なる利用である。偉大なる事物の恵み、巨人の好意である。皇帝の思想を含有するこの大なる記念物は、一浮浪少年を入るる箱となった。小僧はその巨像から迎えられて庇護《ひご》された。日曜日の晴れ着をつけてバスティーユの象の前を通る市民らは、軽蔑《けいべつ》の様子で目を見張ってながめながら好んで言った、「あんなものが何の役に立とう?
前へ 次へ
全722ページ中288ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング