いい女だった。服装も整えていた。彼女はすっかりフランスふうになりきってるある利口な手癖の悪いイギリスの女と、同じ家に住んでいたが、その室《へや》は気取った卑しい飾りつけがしてあった。このパリーふうになりすましたイギリスの女は、富豪らとの関係を保ち、図書館のメダルやマルス嬢の金剛石などと親しい交渉を持っていて、後に罰金帳簿の上に名を著わした者である。普通にミス嬢と呼ばれていた。
 マニョンの手に落ちたふたりの子供は、不平を言うどころではなかった。八十フランついてるので、すべて金になるものが大事にされるとおり、ごく大切にされていた。着物も食物もいいものをあてがわれ、ほとんど「小紳士」のような待遇を受けて、実の母親のもとにいるよりも養母のもとにいる方が仕合わせだった。マニョンはりっぱな夫人らしい様子を作って、彼らの前では変な言葉は少しも使わなかった。
 かくて幾年か過ぎた。テナルディエは幸先《さいさき》がいいと思っていた。ある日マニョンがその月分の十フランを持ってきた時、彼はふとこんなことを言った、「そろそろ父親[#「父親」に傍点]から教育もしてもらわなくちゃならん。」
 ところが突然、その
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