をごらんなすったあの日のことを、覚えておられますか。リュクサンブールの園で、角闘士《グラディアトール》の立像のそばのことでした。それからまた、あなたが私の前を通られたあの日のことも? それは六月の十六日と七月の二日とでした。もうやがて一年になります。それ以来長い間、私はもうあなたに会うことができませんでした。私はあすこの椅子番《いすばん》の女にも尋ねましたが、もうあなたを見かけないと言いました。あなたはウエスト街の新しい家の表に向いた四階に住んでおられました。よく知っていましょう。私はあなたの跡をつけたのです。ほかに仕方もなかったのです。それからあなたはどこかへ行かれてしまいました。一度オデオンの拱廊《きょうろう》の下で新聞を読んでいました時、あなたが通られるのを見たように思いました。私は駆けてゆきました。しかしそれは違っていました。ただあなたと同じような帽子をかぶったほかの人でした。それから、夜になると私はここへやってきます。心配しないで下さい、だれも私を見た者はありませんから。私はあなたの窓を近くからながめたいと思ってやって来るのです。あなたを驚かしては悪いと思って、足音が聞こえな
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