が上は透明な輝いてるある物。美しい将校の影はその表面に映っていた。しかしその底には、どん底には、何の思い出もなかったであろうか。否おそらくはあったであろう。コゼットは自らそれを知らなかった。
不思議なできごとが突然起こってきた。
二 コゼットの恐れ
四月の前半に、ジャン・ヴァルジャンは旅行をした。それは読者の知るとおり、長い間を置いて時々あったことである。いつもその旅は一日か二日で、長くて三日にすぎなかった。どこへ行くのかだれも知らなかった、コゼットさえも知らなかった。ただ一度、彼が例のとおり出かける時、彼女は辻馬車《つじばしゃ》にのってある小さな袋町の角《かど》まで連れてゆかれたことがあった。その袋町の角にはプランシェットの行き止まり[#「プランシェットの行き止まり」に傍点]という札が出ていた。そこで彼は辻馬車をおり、コゼットはまた辻馬車でバビローヌ街まで連れ戻された。ジャン・ヴァルジャンがそういう小旅行をなすのは、たいてい家に金のなくなった時であった。
ジャン・ヴァルジャンはかくてまた不在になった。彼は言った、「三日のうちには帰って来る。」
晩にコゼットはひと
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