少年らは、それを見ていっそうはやし立てた。
 ジャン・ヴァルジャンの目は恐ろしいありさまに変わっていた。それはもはや眸《ひとみ》とさえも言えなかった。ある種の不幸な者に見らるるとおり、普通の目つきと違った奥深いガラス玉で、もはや現実に対する感覚を失い、ただ恐怖と破滅との反映のみが燃え立ってるかと思われるものだった。彼は一つの光景をながめてるのではなく、一つの幻影に見入ってるのだった。彼は立ち上がり、逃げ出し、身を脱しようとした。しかし足はすくんで動かなかった。時とすると、眼前に見える事物はかえってその人をとらえて動かさないことがある。ジャン・ヴァルジャンはそこに釘《くぎ》付けにされ、化石したようになり、惘然《ぼうぜん》[#ルビの「ぼうぜん」は底本では「ばうぜん」]として、名状し難い一種の雑然たる苦悶《くもん》を通して、自ら尋ねた、この死のごとき迫害はいったい何を意味するものであるかと、そして自分を追求してきたこの悪鬼の殿堂はどこから出てきたのであるかと。突然彼は額に手をあてた。にわかに記憶がよみがえってきた者のする身振りである。彼は思い出した、それは実際囚人らが運ばれるのであること、こ
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