。自分の美を知らない優美さはまた特別なものである。なぜなら、無邪気のために光を添えらるる美は言葉にも尽し難いものであり、自ら知らずして天国の鍵《かぎ》を手にしながら歩を運ぶまばゆきばかりの無心ほど、世に景慕すべきものはない。しかし彼女は、素朴な優美さにおいて失ったところのものを、思いありげな本気な魅力において取り返した。彼女の一身は、青春と無垢《むく》と美との喜びに浸されながら、輝かしい憂愁の様を現わしていた。
 マリユスが六カ月の間を置いて再びリュクサンブールの園で彼女を見いだしたのは、ちょうどそういう時期においてであった。

     六 戦のはじまり

 世間から離れていたコゼットは、やはり世間から離れていたマリユスと同じく、今はただ点火されるのを待つばかりになっていた。運命はそのひそかな一徹な忍耐をもって、両者を徐々に近づけていた。しかもこのふたりは、情熱のわき立つ電気をになって思い焦がれていた。この二つの魂は、雷を乗せた二つの雲のように恋を乗せ、電光の一閃《いっせん》に雲がとけ合うように、ただ一瞥《いちべつ》のうちに互いに接し互いに混和すべきものであった。
 ただの一瞥という
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