なことだが!」そして、きれいなので修道院での評判となっていた仲間のだれ彼の事を思い出して、自ら言った、「まあ、私はあの人のようになるのかしら!」
翌日彼女は、こんどはわざわざ鏡に映して見た、そして疑った。彼女は言った、「昨日私はどうしてあんな考えになったのかしら。いいえ私はぶきりょうだわ。」けれども彼女は眠りが足りないだけだった。目がくぼみ色が青ざめていた。自分のきれいなのを信じても前日はそう喜ばしくなかったが、今はそう信ずることができないのを悲しく思った。それから後はもう鏡を見なかった。そして半月以上もの間、つとめて鏡に背中を向けて髪を結った。
夕方、食事の後には、彼女はたいてい客間で刺繍《ししゅう》をしたり、あるいは修道院で覚えた何かの仕事をしていた。ジャン・ヴァルジャンはそのそばで書物を読むのが常だった。ところがある時、彼女はふと仕事から目をあげると、父が自分をながめてる不安らしい様子に驚かされたことがあった。
またある時、街路を通っていると、姿は見えないがだれかが自分の後ろで言ってるのが聞こえるようだった、「きれいだ、しかし服装《なり》はよくない。」彼女は考えた、「なに私
前へ
次へ
全722ページ中154ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング