界に味方と敵とを得た。味方は心酔と歓喜とをもってその方へ押し寄せ、敵は各その性質に従ってそれに背を向けた。ヨーロッパの諸君主は、まず初めに、その曙《あけぼの》における梟《ふくろう》のごとくに、おびえ驚いて目を閉じた、そして再びその眼を開いたのはただ威嚇《いかく》せんがためのみであった。それは道理ある恐怖であり、宥恕《ゆうじょ》すべき憤怒である。この不思議なる革命はほとんど突撃の手を振るわなかった。敗亡したる王位に、敵対して血を流すだけの名誉をさえ与えなかった。自由が身自らそこなわんことを常に喜ぶ専制政府の目から見れば、恐るべきものでありながら、しかも静かに手を拱《こまぬ》いてるということが七月革命の錯誤であった。その上、七月革命に対抗して試みられ計画されたところのものは何もなかった。最も不満なる者、最もいら立てる者、最も戦慄《せんりつ》を覚えてる者でさえ、皆それに対して頭を下げたのである。人の利己心と怨恨《えんこん》とがいかに強かろうとも、人間以上の高き手が共に働いてるのを感ぜらるる事件に対しては、ある神秘なる敬意が生ずるものである。
七月革命は、事実を打ち倒す正義の勝利である。光輝
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