ニである。アン・ラードクリフ([#ここから割り注]訳者注 イギリスの怪奇物語作者[#ここで割り注終わり])と政府とがいっしょになったものである。)――オーブリー・ル・ブーシェ街には砲座が設けられている。――ロボーとブュジョーとは相談をした。ま夜中に、あるいは遅くとも夜明けに、四つの縦隊が同時に暴動の中心を衝《つ》くだろう、一つはバスティーユからき、一つはサン・マルタン市門からき、一つはグレーヴからき、一つは市場から来るだろう。――またたぶん軍隊はパリーから撤退し、シャン・ド・マルス練兵場に退却するだろう。――何が起こるかわからない。しかし確かにこんどのことは重大である。」人々は特にスールト元帥が躊躇《ちゅうちょ》してることを頭に置いていた。「なぜ彼はすぐに攻撃を始めないのか?」彼が深く考え込んでいたことは確かである。老獅子《ろうしし》はこの影の中に、未知の怪物をかぎつけてるらしかった。
夜になった。劇場は開かれなかった。斥候はいら立った様子で巡回していた。通行人らは調べられた。怪しい者らは捕縛された。九時までに捕えられた者が、八百人以上に上った。警視庁はいっぱいになり、コンシエルジュリー監獄とフォルス監獄もいっぱいになった。特にコンシエルジュリー監獄では、パリー街と呼ばれてる長い地下室に藁束《わらたば》がまき散らされ、その上に囚人らは積み重ねられたが、リヨン生まれのラグランジュという男は、彼らに向かって元気な言葉をしゃべりちらしていた。それらの藁は、囚人らに動かされて、驟雨《しゅうう》のような音を立てた。他の所では、囚人らは露天の中庭に重なり合って寝た。至るところに不安があり、パリーにあまり知られないある戦慄《せんりつ》があった。
人々は家の中に閉じこもっていた。人妻や母親らは心痛していた。聞こゆるのはこういう声だけだった、「ああ[#「ああ」に傍点]、彼《あれ》は帰ってこないが[#「は帰ってこないが」に傍点]!」ただ時々遠くに馬車の音がするきりだった。戸口の所で耳を澄ますと、喧騒《けんそう》、叫声、騒擾《そうじょう》、聞き分け難い鈍い物音、などが聞こえ、人々は言った、「あれは騎兵だ[#「あれは騎兵だ」に傍点]、」あるいは、「あれは弾薬車が走って行くのだ[#「あれは弾薬車が走って行くのだ」に傍点]。」また、ラッパの音、太鼓の音、小銃の音、そして特にサン・メーリーの
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